「ヨーゼフ・ボイスは挑戦する」という映画について
「ヨーゼフ・ボイスは挑戦する」を見ました。
いまとなっては1982年カッセルのドクメンタ7で、樫の木を7,000本の植えるというのが芸術の社会性ということでは今に至るまでの射程をもったプロジェクトだったんだなあと・・・思いました。このプロジェクトはドクメンタ7の会場前に7,000個の玄武岩が置かれ、市民や企業の寄付で樫の木が様々な場所に植樹すると、その玄武岩を樫の木と同じ場所に立てていったのです。成長するもの(樫の木)と変わらないもの(玄武岩)が対になって各地に出現したのです。植樹が増えるたびにカッセルのドクメンタ会場まえの玄武岩が少しづつ減っていっているのです。映画ではその様子を見ることができました。
監督のアンドレス・ファイエル(Andres Veiel)は、パンフレットの中で、ボイスが唱えた「みんなで意思決定の仕組みを築こう」は、今こそ耳を傾けるべきメッセージです。と述べています。
Words by Beuys
芸術概念を拡張し始めると、多数派の人々からは異端、狂気、不毛、周縁だとみなされる。
笑なしで革命ができる?
私は人々の意識を拡張し、
現実の政治状況を語れるようにしたい。
今、民主主義はない。
官僚政治に教育されて、自由な人間になれない。
だから私は挑発する。
私はこの腐り切ったシステムの飾りになる気はない。
皆が詩人や画家だとは言っていない。
「誰もが芸術家だ」とは社会芸術の意味だ。
新しく出現する芸術には皆が参加できるし、
参加しなければならない。
私は批評でなく例をみせる。
芸術家は闘争を好まない。
芸術を違う形で見せたい。
皆の日常に関わるものを。
芸術だけが革命的な力を持つ。
人間の自立した創造力ゆえだ。
芸術によって民主主義はいつか実現する。
映画『ヨーゼフ・ボイスは挑発する』パンフレットより